2022年3月20日日曜日

記憶域プールを保持したまま別PCに引っ越しはできるか

Windowsの記憶域プール

 記憶域プールはWindows標準でついている、ハードウェアを束ねて冗長性を高める機能です。柔軟性が非常に高く、現代的なソフトウェアRAIDといったイメージでしょうか。AFTの影響を受けないので古いHDDが混在しても大丈夫です。
 
 記憶域プールで冗長化を図るようなユーザーは、新しいPCに引っ越す際にHDDも新調するでしょうしそれが健全でしょう。しかし貧乏性で怠惰な私は、HDDがまだ使えそうなら現役続行してほしいですし、新しいHDDに数TBコピーするのが億劫と感じてしまうので、なるべく何もせず新しい環境に移行したいのです。
 そういう観点から、記憶域プールを導入するのは妥当か実験してみたいと思います。
 ※Windows Serverではなく普通のWindowsを対象にしています。
 

vs ミラーボリューム

 Windowsには以前からダイナミックディスクの機能としてミラーボリューム諸々のRAID的機能がありました。そう、ありました。
 残念ながらダイナミックディスクはMicrosoftが開発終了を宣言してしまったので、新規導入することは推奨されません。Microsoftも代わりに記憶域プールを使えと言っています。でもせっかくなのでミラーボリュームも今回の実験対象としてみました。
 なおミラーボリュームは4KセクタのAFT問題の影響をモロに受けます。非AFTとAFTの組み合わせでミラーボリュームの新規作成はなぜかできますが、一度切り離したあとの再設定で弾かれます(「指定されたボリュームに対するエクステントを保持するすべてのディスクは同じセクターサイズを持ち、そのセクターサイズは有効である必要があります。」という長いエラーが出る)。AFTが出回り始めてから10年以上が経過しているので、新規のHDDに関しては気にすることはありませんが、古いHDDを組み合わせるなら要注意です。

引っ越し検証

 PC-AとPC-Bを用意します。いずれもWindows10 Proです。
 AにてHDD2台を束ねたダイナミックディスク(ミラーボリューム) or 記憶域プール(双方向)を作り、ドライブ内に確認用のデータを置いてからシャットダウンします。AからHDDを2台とも引っこ抜き、シャットダウンしてあるBに挿して、起動後に同じミラー環境が復元できるか確認します。なおHDDはSATA接続です。USBだと作れないので。
 

ダイナミックディスク(ミラー) 

 まずは噛ませ犬の方から(笑)
 起動するだけでは認識しません! ディスクの管理ではいずれも「異形式」として認識されています。いずれかのドライブを右クリックし、「形式の異なるディスクのインポート」でウィザードに従うと勝手に2台とも復元されました。データも無事です。
 とはいえ、そもそもダイナミックディスクは別環境に移すことを想定していない気がします。中身が見えないので「インポートに失敗したらどうなるの」という恐怖はあります。
 

記憶域プール(双方向)

 初回起動時から何もしなくても認識されました。もちろんデータも見えます。Bでは一切記憶域プールの設定はしていませんが、コンパネにはAで設定した記憶域プールの情報がそのまま表示されています。記憶域プールの設定はシステム側ではなく、対象のHDD自体に完全に保存されているようです。
 
 せっかくなので追加実験も。Bに挿すときに片方のHDDのみを接続したらどうなるでしょうか。2台のHDDをそれぞれHDD1/HDD2と呼ぶとします。
 HDD1のみの接続、HDD2のみの接続であっても、いずれもそのまま認識し、 コンパネにも記憶域プールの設定が復元されています。ただし相方のHDDが行方不明のため「冗長性が保たれません」的な警告は出ます。
 このことから、記憶域プールに参加しているドライブは、それ単体で全ドライブの構成情報を保持していることが予想されます。
 
 ちなみに記憶域プールは作成時に何故かドライブを認識しないとか作成に失敗したとかエラーが頻発することがあります。デバイスマネージャから対象HDDを右クリックして「デバイスを無効化する」からの「有効化する」を実行すれば大抵何事もなかったかなように進むようになります。
 

まとめ

 個人的には、ミラーボリュームはセクタ問題が起こるあたり低レベルの堅実なイメージがあるのですが、ダイナミックディスクは非推奨のため今後使わないほうがいいでしょう。記憶域プールは参加しているドライブがディスクの管理から見えないので、そこはかとない不安感がありますねw。デバイスマネージャで認識しているのはわかるんですが。
 
・ダイナミックディスク(ミラーボリューム)は開発終了のため新規採用すべきでない
・記憶域プールは新環境に繋ぐだけで自動復旧する賢い子
・記憶域プールを使っておけばとりあえず困ることはないと思われる 
 
あと今回の検証とは関係ない記憶域プールの注意点として以下があります。
 
・新規作成時はドライブ内のすべてのデータが消える
・記憶域プールの使用をやめるときもすべてのデータが消える(保持したまま普通のドライブに変換とかはできない)


2022/8/6 追記

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