エレクトロシンドローム: 雷サージガード付きコンセントタップの選び方

雷とコンセント

雷が落ちるとコンセントを伝わって接続機器が壊れうるというのは想像に難くないでしょう。そのため雷サージガードのタップが色々と販売されていますが、比較指標が分かりにくく選びにくい。そのため、指標を調べ、販売各社の製品を整理しました。

理論が嫌いな人は読み飛ばして一番下の「各社製品」までどうぞ。

落雷とサージ

雷サージの「サージ」とは「サージ電圧」とそれに起因する「サージ電流」のことであり、瞬間的に発生する大きな電圧(電流)を指します。落雷によるサージ源は主に2種類に分けられ、「直撃雷」と「誘導雷」があります。

直撃雷は電気系統(or通信系統)に雷が直撃することであり、そもそもの発生確率は低いもののエネルギーが極めて高いため予防は困難です。避けるには家屋そのものの避雷を徹底するか、落雷時には機器をコンセントから抜いておくくらいしかないでしょう。

誘導雷は電気系統に近接した何かに落雷した際に、電磁誘導によって電気系統にサージが発生する現象です。発生確率は直撃雷より高く、家屋直近に落雷せずとも伝播してきます。エネルギーは直撃雷よりも低いためある程度予防可能です。この予防策の一つが雷サージガードです。

結局のところ、雷に対して機器を保護する最善の方法はコンセントから抜くことです。それをわかった上で、「いちいち抜くのも面倒くさいし、確実ではないけど保険として誘導雷をある程度防いでくれればいいや」という気持ちで雷サージガード付きタップを使うぐらいが適切でしょう。

最大サージ電圧は高いほうがいいのか？

最大サージ電圧を測る規格は複数あるので、同じ規格内で大小を比較するのは意味がありますが、違う規格同士で大小比較するのはナンセンスです。

「A社のはMax12500VだけどB社のはMax4500VなのでA社がいい！」とは言えません。

測定規格はおよそこの2つが使われているようです。

JEC210/212
IEC61000-4-5

JEC210/212は日本電気学会が作った規格です。IEC61000-4-5よりも高い値が出やすく、結果では12500Vとかが散見されます。内容は書籍を入手しないと閲覧できなさそうです。

IEC61000-4-5は国際電気学会が作った規格です。JEC210/212よりも低い値が出やすく、2500-10000Vなどが見受けられます。こちらも購入が必要ですが、STMicroelectoronics社のアプリケーションノートに概要が載っていました。興味があればこちら(pdf直リンク)より。

※ちなみにIEC6100-4-5なんてのもネットで見かけましたが、IECのサイトで調べても出てきませんでした。謎です。

バリスタ

雷サージを防いでくれる電子パーツとは「バリスタ」のことです。バリスタは一定電圧以上が印加されると抵抗値が急激に"下がる"特性があります。そのためコンセントに対して並列で接続すると、サージ発生時には抵抗が下がって高電圧が接続機器に印加されるのを防いでくれます。

雷サージに対して有用な評価項目は以下のようなものがあります。

バリスタ電圧：バリスタに1mA流れるときの印加電圧。
制限電圧：雷サージを模した電流波形(8/20us波形)を入力した際に、この電圧以上が印加されないようになり、回路が保護される。バリスタ電圧より高くなる。
サージ耐量：8/20us波形を入力した際にバリスタが破壊しない最大の電流。
エネルギー耐量：上記の際のエネルギー量。

つまり、日本のごく普通の機器を保護する目的としては、制限電圧が141V(実効値100V)よりもある程度余裕を持って高いが、なるべく低いものがいいでしょう。ラインナップを見ていると200-300V台が多いようです。

サージ耐量を上回らなくても高エネルギーがバリスタで消費されるわけですから、品質は下がっていきます。よく「LEDが切れたら交換してください」みたいな注意書きがされてるのはそのためです。雷サージガード(バリスタ)は消耗品です。

ちなみにバリスタの故障モードは短絡モードが多いらしいです。恐らく短絡した際に内部のヒューズやら配線やらが焼き切れてLEDも消灯する仕組みなのでしょう。

なお電子工作をする人は馴染みがあるとは思いますが、バリスタは個人が買っても(しかも日本メーカのでも)20円程度のパーツです。もちろん品質はピンきりでしょうが、「雷サージガード」の名のもとに数百円の付加価値を生み出しているのは、電子工作好きとしては歯がゆいものがあります。自作しようかな…

各社製品

サンワサプライ、エレコム、バッファロー、パナソニック、オーム電機、ELPA、YAZAWAの中から、一般的なモデルで入手性のいいものをピックアップしました。

※価格などの情報は2020/8/30時点でのものです。

※性能評価は純粋に対サージ機能のみを見ており、コードの抵抗値や金属材質などは評価していませんのであしからず。

コンセント直付けタイプ(タコ足タイプ)

サンワサプライとELPAは詳細な性能を開示していて印象が良いです。

両者を比べると、ELPAよりサンワサプライの方が性能も価格も高くなっています。やや高くても性能重視ならサンワサプライを、価格重視ならELPA(かエレコム)を選択すればいいと思います。 YAZAWAは性能が高い気もするのですが開示情報が少ないため評価できません。

TAP-SP207

サンワサプライ雷ガード 2P 3個口ホワイト TAP-SP207

2020年8月30日日曜日

雷サージガード付きコンセントタップの選び方

雷とコンセント

落雷とサージ

最大サージ電圧は高いほうがいいのか？

バリスタ

各社製品

コンセント直付けタイプ(タコ足タイプ)

延長コードタイプ

個別スイッチ付き延長コードタイプ

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