2020年5月24日日曜日

クランプ式マルチメーターUT210Eを改造する


UT210Eとは

UT210Eとは、中国のUNI-TREND TECHNOLOGY社がUNI-Tブランドで出しているデジタルマルチメーターのひとつです。同社は様々なジャンルの計測機器を手頃な値段で販売しています。
UT210はA~Eまでのシリーズがあり、基本的にA<B<C<D,Eの順に値段も性能も上昇します。

A,B: AC電流のみ
C: AC電流 + AC/DC電圧 + 抵抗 + 容量 + 温度 + etc
D: AC/DC電流 + AC/DC電圧 + 抵抗 + 容量 + 周波数 + 温度 + etc
E: AC/DC電流(1mA~) + AC/DC電圧 + 抵抗 + 容量 + etc

Dの機能数はシリーズ最大で、その点Eは劣りますが、EにはDC小電流を計測できるという大きな特徴があります。
クランプ式なのに直流小電流を精度良く測れるという点がこのマルチメーターの最大の強みだと思っているので、UT210Eを強くオススメします。周波数計なんて他の安物マルチメーターでも搭載されていますしね。

さて、気になるお値段ですが、Amazonでは(最も評価数の多い出品で)6000円程度します。いろいろな出品者から出店されているので、最安は5000円程度からです。

Aliexpressでは平常時で47ドル程度なので、Amazonとそこまで変わりません。私はAliexpressの年に1-2回あるお祭りの日にクーポンをかき集めて33ドル程度で購入できました。

謎の(?)中国メーカーに数千円払って計測機器を買うのに抵抗がないわけではありませんでしたが、買ってみるとものすごく使い勝手が良くて重宝しています。

使い勝手

クランプだけで1mA単位の直流電流が測れるので、小さな電子工作をしていて急に電流が測りたくなったときに電源ラインにクランプするだけで電流が分かります。しかも精度がなかなかに良い
ちゃんと精度検証したわけではありませんが、10mA未満の電流でも誤差±1mA以内に収まっている印象です。精度を担保するためにクランプに2周巻きつけてから数値を÷2して使っていますが、1周でも普通に使えそうです。
ただし小電流過ぎるゆえ、ノイズに弱いです。まず計測対象を電源断し、クランプしたあとはメーター本体が動かないように置くなり固定するなりしてからゼロ補正し、最後に対象の電源を入れて電流を計測するステップが必要です。手順さえ守れば簡便に精度良く電流が測れる良い子ちゃんです。

改造する

このマルチメーターにはDM1106EN(古いモデルだとDTM0660L)というICが使用されています。このICは外付けのEEPROMに各種設定を保存しているので、EEPROMを書き換えれば使いやすくカスタマイズできるという特徴があります。
EEPROMのみの書き換えなので万一失敗しても書き戻せば復旧でき、EEPROMに書き込むための端子がすべてパターン上に引き出されているのでEEPROMライタとの接続も簡単です。

こちらのサイト様を参考に書き換えてみました。

壊れないという保証はないので自己責任にてお願いします。


ネジを2本外せば開きます。ちなみに電池は取り外さなくてもそのまま分解できる設計になっていました。




ICはDM1106ENでした。以下はICがDM1106ENである前提として書きます。DTM0660でも殆ど変わらないとは思いますが。

クリスタルの上に5個引き出せそうな端子があります。
画像上から、
  • Vss(GND)
  • SDA
  • SCL
  • WP
  • Vcc
です。EEPROMを書くために必要な端子は全て揃っています。


スルーホールなのでブレッドボードのジャンパーピンを突っ込むだけで動作しました。はんだ付けも要りません
私はEEPROMの書き込みにPICKit2を使用しました。なんでもいいので好きなEEPROMリーダライタをどうぞ。

読み書きの際に注意点があります。
UT210Eへの電源供給は不要なのですが、回転式スイッチを"OFF以外"にしてください。
これをしないと認識が不安定で悩みました。
なお、WPはGNDに落とすか、面倒臭ければそのまま放置でも当環境では認識しました。

認識したら、まずはEEPROMをリードしてバイナリを保存しておくことを強くオススメします。これをしておけば遊びすぎてデータが破壊されてもバックアップバイナリから復元できます。


編集アドレスと意味はここで詳しく解説されています。

リトルエンディアンなので2Byte値のアドレスには気をつけてください。

参考までに私が変更した箇所を記します。
※アドレス 変更前→変更後

フルレンジ(0x270F==9999d)
0x10 70→0F
0x11 17→27

レンジ変更点上限(0x270F==9999d)
0x12 98→0F
0x13 08→27

レンジ変更点下限(0x03D4==980d)
0x14 BE→D4
0x15 00→03

オートパワーオフ時間(分)
0xFB 0F→0A

LEDバックライト消灯時間(秒)
0xFC 0F→0A

2AレンジをDC→ACの順に
0x87 17→16
0x97 16→17

VoltレンジをDC→DC(mVなし)→AC→AC(mVなし)の順に
0x8E 04→05
0x9E 05→03
0xAE 00→06
0xBE 00→04

以上の書き換えにより、便利に使えるマルチメーターに生まれ変わりました。

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